豊胸手術や他院豊胸修正手術は、当院では多い御相談内容の1つです。一般的に、広告宣伝されている豊胸手術には『ヒアルロン酸注入による豊胸術』 『脂肪注入による豊胸術』 『バッグを用いた豊胸術』 の3つの方法が書かれているかと思います。特に『ヒアルロン酸注入による豊胸術』 は、 「もともと体内にあるものだから安心!」 「メスを入れずに簡単・お手軽!」 「部分的な注入が可能!」 「通院不要!」 「副作用なし!」 などの美味しい謳い文句のもと、多くの美容外科で行われています。美容外科医としての経験が浅い医師でも、"乳房に針を刺して注入するだけ" と考えれば、美容医学的な知識が少なくても出来るのです。つまり、簡単に "売り上げを上げる事" が出来る "都合の良い手術" という訳です。しかし果たして、医師としてそのように "目先のお金目的" で手術をして良いのでしょうか?
皆様、良く考えてみて下さい。いかなる豊胸手術にせよ、外科手術ですから "リスクがゼロ" という事は無いのです。その中でも、ヒアルロン酸注入や脂肪注入などの "注入系" の手術は、バッグによる豊胸手術とは比べ物にならない位恐ろしい合併症があるのです。その理由は、『ヒアルロン酸注入による豊胸術』 及び 『脂肪注入による豊胸術』 はどちらも、乳房に "ちりばめて" 注入されますので、一度合併症が発症しますと、胸から取り戻す事が出来ないからなのです。それに対して 『バッグを用いた豊胸手術』 は、 "固体" として乳房に入っているので、何らかの理由で取り出す場合、乳房には一切のダメージが無くそのままの形で取り出す事が出来、元の乳房に戻す事が出来るからなのです。 「自分はきっと大丈夫だろう」 などと、侮って(あなどって)はいけません。それでは、これから詳しく述べさせて頂きます。
はじめに、 『ヒアルロン酸注入による豊胸術 』についてお話しさせて頂きます。ヒアルロン酸注入に用いられるヒアルロン酸は "吸収されにくい" などという謳い文句で、Macrlane Fine(現在ではVRF20と呼ばれております)やSub-Q(現在でもVRF30と呼ばれております)、 "仕入れの安さ"からハイアコープなどを用いて行なわれております。そしてどのクリニックもホームページ等にBefore⇔Afterの画像を載せて、より魅力的な乳房を演出させているかと思います。まずサイズ的な話しを致しますと、1カップのサイズアップはヒアルロン酸50ccの注入で可能であるかのように書いてありますが、人間の体において1カップのサイズアップをさせるためには50ccでは無理なのです。 "150cc" 位の "何か" を入れないと1カップは上げられないのです。また、ヒアルロン酸を注入する場合、乳房に局所麻酔をします。ヒアルロン酸50ccを注入するとすれば同量の局所麻酔をする事になります。つまり50ccのヒアルロン酸と50ccの局所麻酔が乳房に入り、合わせて100cc乳房に入った事になります。美容外科によっては画像を、この "局所麻酔込み" の、そして沢山の針を乳房に刺した訳ですから "腫れている状態" の乳房の画像を撮影しているのです。つまり目的の50ccのサイズアップよりも倍以上に膨らんだ乳房を撮影し掲載しているのです。しかし、局所麻酔は時間とともに吸収され、腫れも少しずつ引いてきますから、Afterの画像の半分以下のサイズに戻ってしまうのです。本当にインチキ極まりない話です。また、注入費用に関しましては 「10ccで4万円」 位の値ごろ感をアピールしているクリニックが大半ですが、仮に片胸に100cc、両胸で200cc注入した場合、80万円が単純にもかかる計算となります。長くもったとして1年間の治療効果と仮定しても、1年で80万円が水の泡になってしまうのです。
サイズや注入費用の事は "合併症" ではないのでこの辺で話をやめますが、重要な事はこれからです。では 『ヒアルロン酸注入による豊胸術』 には、どのような合併症があるのでしょうか。
1、 感染
この感染は、注入部位を消毒していたとしても防ぐ事が出来ません。抗生物質の投与だけでは治療は困難であり、膿(うみ)が溜まった部分の乳房の皮膚を切開し、排膿(はいのう)しなければなりません。
2、 アレルギー
この症状は早い人では1週間以内に発症します。症状としては、強い腫れ、痛み、発疹があらわれます。この状態に対しては、ステロイド剤などの内服だけでは治療が困難となります。
※ 上記1、2が発症し、重篤になりますと、敗血症、皮膚壊死、乳房の皮膚変形をもたらします。こうなってしまうと見た目の乳房の皮膚も、 "火傷が治ったような皮膚状態" になってしまいます。また、授乳機能にも影響を及ぼし兼ねないのです。もちろん元の皮膚質には一生涯戻る事はありません。
3、 左右非対称、ヒアルロン酸の乳房内移動、乳房変形
4、 しこり(注入量が少なくても、注入法を工夫しても発症しうる。また、小さいものは母子頭大、大きいものは鶏卵大位になる。)などが上げられます。
次に『脂肪注入による豊胸術』の合併症についてお話しさせて頂きます。乳房に対する脂肪注入手術は、 「自分の気になる部分を脂肪吸引して同時に胸に注入します」 「痩身と豊胸の一石二鳥の手術」 などの謳い文句のもと多くの美容外科で行われております。最近では 「 "最新" の脂肪注入豊胸術」 などの宣伝広告も散見されますが、手術後、3年後、5年後、10年後などの遠隔成績(えんかくせいせき)もなく手術そのものに疑問を感じますし、脂肪注入には変わりないですから恐らく結果は良くないでしょう。この 『脂肪注入による豊胸術』 も 『ヒアルロン酸注入による豊胸術』と同様の恐しい合併症を発症する可能性があります。脂肪吸引した部分の凸凹も取り返しのつかない合併症の1つですが、乳房そのものの合併症としましては 「しこり」 が一番の問題となってまいります(下の画像をご参照下さい)。
「しこり」 は注入を受けた方のほぼ100%に出来ると言っても過言ではなく、注入量が少なくても、注入法を工夫しても発症しうるのです。 「しこり」 のサイズは小さいものでは母子頭大、大きいものですと鶏卵大にもなります。そして 「しこり」 の構造は、実は "3重構造" になっているのです。一番外側が瘢痕(はんこん)組織という厚い被膜で出来ており、中間が石灰化(せっかいか)組織、一番内側が壊死した脂肪(実際に見ると、卵のそぼろ状で悪臭がある)となっております。石灰化とは、炎症による組織障害に続発する壊死に陥った部分であり、より詳しく "精密検査"をしましょうという事になりますし、乳癌検診でも毎回 "要精密検査" になってしまうのです。また、なぜ注入した脂肪が壊死するのかと申しますと、皮下脂肪というのは体内に存在する時は、血流やリンパにより "生きている状態" で存在出来ているのです。ところが、吸引により一度体外へ取り出し、再び体内(乳房内)へ注入した場合、新しい血管が新生しないと、血流が無くなり "死んだ組織" となってしまうのです。一度 「しこり」 が出来てしまうと残念ながら "自然治癒" はありません。『ヒアルロン酸注入による豊胸術』 『脂肪注入による豊胸術』 で、"仮に" 合併症が発症しなかったとしても、どちらも注入直後のサイズの維持は出来ずサイズアップの効果も乏しく、形も綺麗ではないのです。
以上の理由により、当院では 『バッグを用いた豊胸手術』 しか行っておりませんし、今後もそうしていくつもりです。医師として、患者様の事を思えば、 "注入系" の豊胸術は絶対にお勧め致しません! 「簡単・お手軽豊胸術」 の裏には恐しい合併症があるのです。インフォームドコンセントをしっかり行なった上で、安全性が高く、耐久性がある "世界最高水準" の医療用バッグ(当院ではマクガン社のバイオセルバックを使用)を用いて手術を行えば、術後の満足度は極めて高いのです。そして今まで楽しめなかった服装や、友人達との温泉も楽しめるようになれるのです。豊胸手術をお考えの方は、どうかこれらの内容を踏まえてしっかりと美容外科選びをなさって下さい。また、これらの合併症を踏まえても 『ヒアルロン酸注入による豊胸術』 『脂肪注入による豊胸術』 を行なうという医師は、必ず患者様に対して "インフォームドコンセント" をしっかり行い、手術のデメリットも充分伝えた上で、同意を得て手術を行って頂きたいと思います。
【下記のホームページの内容もご参照下さい】
・パソコンでご覧の方はこちらをご覧ください
・豊胸手術・バストについて
・携帯でご覧の方はこちらをご覧ください
・豊胸手術・バストについて